ビニル床タイル(通称:Pタイル)とは?~特徴やアスベストについて解説します~

本記事の要約

  • ビニル床タイル(通称:Pタイル)は主にオフィスや事務所の床・病院・公共施設・商業施設などの床や住宅の場合は洗面所や台所の床に使用されていた材料である。
  • 床タイルそのものにアスベストが使用されていたことと、施工の際の接着剤などに使用されていたことがあることから、撤去作業の際には注意が必要です。
  • タイルカーペットやOAフロアの下に施工されていることもあるので、事前調査の際には注意が必要である。また、古いビニルタイルが撤去されずに上貼りされている事例もあるので、調査の際には改修履歴等の確認も必要になる。
  • 石綿使用の有無の事前調査の際には、接着剤等の取り残しがないように分析試料の採取を行う必要がある。

すべての工事においてアスベスト調査が必要

大気汚染防止法などの法改正により、解体・改修工事の前のアスベスト事前調査が「すべての工事において原則必須」※1となり、その調査結果を一定規模以上の解体工事もしくは一定金額以上の改修工事については調査結果の届出が必要※2となりました。

※1 調査の対象を外れる要件もあります(こちらの記事を参照)
※2 【よくある誤解!】100万円以下の工事でもアスベスト調査は必須です!
ビニル床タイル(通称:Pタイル)は主にオフィスや事務所の床・病院・公共施設などの床や住宅の場合は洗面所や台所の床に使用されていた材料です。
床タイルそのものにアスベストが使用されていたことと、施工の際の接着剤などに使用されていたことがあることから、撤去作業の際には注意が必要です。
本記事では、ビニル床タイルとはどのような建材なのか、特徴やアスベストの含有について解説していきます。

ビニル床タイル(通称:Pタイル)とは?

ビニル床タイルの定義

ビニル床タイル(通称:Pタイル)はプラスチック製の床材の一種です。
Pタイルは商品名でしたが、その名称が広く浸透したため、現在はプラスチックタイルの総称としてPタイルと呼ばれることもあります。
ビニル床タイルは、ポリ塩化ビニルなどのビニル樹脂、炭酸カルシウムなどの充填剤及び着色剤などを配合して成形された床材で、300mm角・厚さ2~3mmの商品が一般的です。

アスベスト含有ビニル床タイル(半硬質、軟質)

 アスベストを含まないホモジニアスビニル床タイルは昭和60年以前から製造されているが、塩化ビニル樹脂等のバインダーを多く含み柔軟性に富んでいるので、容易に他のビニル床タイルとは区別できる。
 一方、アスベスト含有ビニル床タイルは昭和60年まで製造され、昭和61年以降その代替品として、アスベストを含まないコンポジションビニル床タイルが製造開始された。この両者は物性上の相違点が少なく、柔軟性等で区別するのは難しい。そこで、このコンポジションビニル床タイルについては、図面等で確認した場合を除き、アスベスト含有ビニル床タイルと同様に取り扱うこととする。
《 非飛散性アスベスト廃棄物の適正処理について - 環境省

ビニル床タイルの用途

ビニル床タイルは汚れにくい、硬質、耐久性・耐水性・耐摩耗性に優れているといった特徴があります。
その傷や汚れに強い特徴に加えて、土足での利用も可能であることから、学校・店舗・病院・事務所などさまざまな場所の床材として広く使用されています。
また公共施設以外にも、個人住宅の台所や洗面所などの水まわりや土間などに使用されている場合もあります。

ビニル床タイルの使用用途 例

  • 事務所、病院、公共施設、商業施設などの床に多く使用されている。タイルカーペットやOAフロアの下に張られていた例もあるので、事前調査の際には注意が必要である。
  • 住宅の場合は、洗面所や台所の床等に使用されている。
  • 古いビニル床タイルが撤去されず、その上から新しい床タイルを上貼りしている事例もあるので注意が必要である。

ビニル床タイルとアスベスト

アスベストを含有するビニル床タイルの製造時期は1952年から1987年までです。しかし、建物の改修などによりビニル床タイルの上に異なる床材が施工されている場合もあるため、適切な確認が必要です。


1987年以前の古いマンションやビルなどには、ビニル床タイルの裏面にアスベストが使用されていることがあります。現在ではアスベストは使用禁止となっており、含有する建材の解体や改修時にはアスベストが飛散するおそれがあるため、注意が必要です。

《 アスベスト含有建材データベース ‐ 関連情報 》

ビニル床タイルは、コンクリートに直接接着により施工することが可能ですが、コンクリートに不陸がある(水平でない)際にセメント系の下地調整材を使用することもあります。
そのため、ビニル床タイル自体にアスベストの含有がない場合でも、下地調整材や接着剤からアスベストが検出される場合もあります。解体や改修の際には確認が必要になります。

アスベストを含有するビニル床タイルの除去工法

ビニル床タイル(通称:Pタイル)は、その撤去方法から「レベル3」のアスベスト含有建材に相当します。レベル3の建材は比較的アスベスト飛散のリスクが少ないとされていますが、その作業方法は以下のように規定されています。
  • 切断等することなくそのまま取り外すこと。
  • 上記の方法により除去することが技術上著しく困難なとき又は一部除去の場合など改造・補修作業の性質上適さないときは除去する建材を薬液等により湿潤化すること。
  • 除去後、作業場内の石綿を清掃すること。養生をした場合は、養生内の清掃と石綿の処理を行うこと。
《 大気汚染防止法 (大防法施行規則別表第7 四の項)》
  • 切断等以外の方法で除去しなければならない。
  • 切断等により除去する場合は、湿潤な状態のものとしなければならない。
  • 湿潤な状態とすることが著しく困難なときは、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置を講ずるように努めなければならない。
《 石綿障害予防則(石綿則第6条の2、第 13 条) 》

石綿含有ビニル床タイルの除去作業 例

石綿含有ビニル床タイルは、建築物の床面及び階段によく使用されており、接着剤等で固定されているため、
剥がし作業では粉じんの出ないよう、バール、ケレン棒、電動ケレン(ペッカー)等で剥がす。
  • 当該建材は、切断等することなくそのまま取り外すことができないため、既存建築物の窓・ドア等の開口部を先にテープで目張り養生をし、飛散防止に努める。
  • また、当該除去作業は、全体の作業手順において、はじめの方(目張り養生ができる期間)に実施することが望ましい。
  • 石綿含有ビニル床タイル面の湿潤化については、転倒災害等の防止の観点から、事前に計画し慎重に行う必要がある。
  • 剥がした石綿含有ビニル床タイルの小口や破断面等を湿潤化した後、養生シート等で梱包し、石綿含有産業廃棄物として、他の産業廃棄物とは区別して、保管する。
  • 作業場内の清掃は高性能真空掃除機を使って行う。
  • 作業場内で使用した作業衣、工具等は、濡れ雑巾で丁寧に拭き取り、又は高性能真空掃除機で清掃した後、場外へ持ち出す。
 建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル〔令和6年(2024年)2月改正〕〔厚労省・環境省〕 P.196

まとめ

建物の解体や改修に際しては、事前にアスベストを含有する建材の使用状況を調査することが義務付けられています。
事前調査では、設計図書や仕様書等から使用されている建材の種類や製造年等を確認する書面調査と、現地で設計図書等と照合し、アスベストの含有が疑われる建材等を確認する現地調査により、アスベストを含有する建材の有無を判断します。
ビニル床タイル自体にアスベストの含有がない場合でも、下地調整材や接着剤からアスベストが検出される場合もあります。解体や改修の際には確認を行う必要がある材料のうちの一つです。
また、分析調査せずに『石綿含有みなし』での工事を行った場合、必要となる措置のうち最も厳しい措置を講じることが求められています。必要な措置を怠った場合は、アスベストの飛散・暴露事故につながる可能性があります。
事前調査によりアスベスト含有の有無を判断できない場合は、建材の試料を採取し、分析を行うことでアスベスト含有の有無を判断することが可能です。
工事に携わる事業様に置かれましては、本記事をご一読頂き、法令を遵守し企業活動を行って頂けますと幸いです。

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