アスベスト含有、及び含有みなし時の工事フローの解説 – レベル1,2,3の手順と対応

本記事の要約

  • アスベスト含有時の工事フローは、多くの手順と注意事項を含むため、非常に複雑で時間がかかる
  • 含有みなしとしてしまうと、含有している場合と同様にこの作業を行う必要がある
  • 含有の可能性が高い建材や、採取が困難である場合はみなしは有効となる
  • 過去実績より、分析が可能であれば分析を行った方が安価となるケースが多い
アスベストは、過去に広く建築材料として利用されていたが、健康への影響が明らかになり、多くの国でその使用が制限されています。
アスベスト含有と判定された建築物や設備を取り扱う際には、特定の工事フローを遵守する必要があります。また、アスベスト含有として扱う「みなし」の場合においても、安全を確保するためには同様の手順が必要となります。

アスベスト対策におけるレベルとは

アスベスト対策の「レベル」とは、アスベストを取り扱う際の安全対策の厳密さを示す指標です。アスベストは健康に対して非常に危険な素材であるため、これを扱う際には特定の安全対策が必要とされます。レベルが高いほど、安全対策が厳密になります。

表.アスベスト対策におけるレベル

レベル説明
レベル1、2
(特定粉じん排出工事)
レベル1、2は最も厳しいレベルで、ここではアスベストを取り扱う際に最高度の安全対策が必要とされます。専門的な知識と装備、そして厳格なプロトコルが必要とされ、事前に十分な準備と計画が求められます。
レベル3レベル3は比較的緩やかなレベルで、基本的な安全対策を実施しながらアスベストを取り扱うことができます。しかし、依然として安全に作業を行うための一定の知識と準備が必要です。

アスベスト含有、及び含有みなし時の工事フロー

アスベスト含有時の工事フローは、多くの手順と注意事項を含むため、非常に複雑で時間がかかる可能性があります。

以下厚労省のマニュアルでは、アスベスト含有・もしくは含有みなしとした場合には、図の黄色部分の作業を全て行う必要があると記載されています。加えて、この大半の作業は有資格者が行う必要あります。

専門的な知識と技術が求められることから、コストも考慮する必要があります。

■レベル1・2フロー

《厚労省》建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び 石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル(P80)

■レベル3フロー

《厚労省》建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び 石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル(P83)

注意していただきたいのは、含有みなしとしてしまうと、含有している場合と同様にこの作業を行う(図中の黄色部分は全て実施する必要がある)必要があるところです。
アスベストが含有していない可能性があるにも関わらず、大部分をみなしとしてしまうと思いもよらないコストと時間がかかってしまうかもしれません。

アスベスト分析調査を推奨する理由

必要な作業が多くなってしまうことだけでなく、
一般的には「処分費用>採取・分析費用」となるため、アスベスト含有の確率を全く考慮しなければ、分析を行った方が安価に対応できます。

更に、デイラボにおける含有の確率としては、

含有は2~3割程度であり、残りの「7~8割については含有なし」

という結果になっております。含有なしと判定されれば多くの作業を行わずに済みます。

※建材の種類によっては非含有の割合が更に上がるもの(石膏ボード等)もあります。
※デイラボに依頼のあった分析調査の過去実績(2023年10月現在)

みなしを選択するケース

反対に、みなしを選択すべきケースとしては以下のような場合となります。

みなしが採用されるパターン

①再資源化の需要がない(再資源化には、石綿なしを証明する必要あり)

②含有の可能性が高い(特定年代のレベル1、レベル2建材に多い)

③検体の採取が困難である(公共空間や危険個所)

④作業範囲が極端に狭い(エアコン設置工事等)

アスベスト含有の確率と費用の関係性

「アスベスト分析調査」or「みなし」の判断においては、アスベスト含有の確率が大きく影響してくるためこれらを関係性を纏めると以下のように考えられます。
アスベスト含有の確率が高い建材に対しては、採取・分析を行った結果、含有していた場合は更に処分も対応しなければならないのでトータル費用は高額になります(パターンA)
このような状況の場合は、みなし判定で採取・分析費用を圧縮するという対応は有効と言えます(パターンB)

逆に、アスベスト含有の確率が低い建材に対しては、採取・分析を行った方が安価に対応できるケースが多くなります。(パターンC)
アスベスト含有の確率が低にも関わらずみなし判定として扱ってしまうとコスト効率は悪くなる可能性が高くなります。(パターンD)

まとめ

アスベスト含有時、含有みなし時に行う作業はとても多く複雑です。
検査対象・工事の状況などから最適な方法で対策を実施し、適切な工事の実施を行って頂ければ幸いです。
弊社では、アスベスト分析業務だけでなく、貴社社員・協力業者様向けのアスベスト事前調査についての勉強会なども行うことも可能です。

1時間程度のお時間を頂き、今回の法改正で変わったこと/今後対応しなければいけないこと/発注者様への説明/工事時に気を付けなければならないことなどをお話させて頂きます。

対面でもZOOMなどでのウェビナーでも対応可能ですので、まずはお気軽にお問合せください。
また、このような情報も含め、アスベストに関する最新情報をメールマガジンとして配信も行っております。

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