けい酸カルシウム板とは?~特徴やアスベストについて解説します~

本記事の要約

  • けい酸カルシウム板は壁材や天井材として使用されるほかに、火災の際に建物の骨組みである鉄骨を守るための被覆などに様々な用途で使用されている不燃・防火建材である。
  • けい酸カルシウム板は、そのかさ比重から第1種、第2種と区分され、それぞれ製造年によってアスベストの使用の可能性がある。
  • けい酸カルシウム板第1種に限りその他のレベル3材料と区分され、撤去時には飛散防止のための隔離養生が求められる理由としては、(レベル3建材の中で)アスベスト繊維の飛散性が高い=石綿暴露の危険性が高い材料であるからある。
  • 石綿使用の有無の事前調査の際には、けい酸カルシウム板を見分けられるよう、その用途や特性などを留意しておくことが重要である。

すべての工事においてアスベスト調査が必要

大気汚染防止法などの法改正により、解体・改修工事の前のアスベスト事前調査が「すべての工事において原則必須」※1となり、その調査結果を一定規模以上の解体工事もしくは一定金額以上の改修工事については調査結果の届出が必要※2となりました。

※1 調査の対象を外れる要件もあります(こちらの記事を参照)
※2 【よくある誤解!】100万円以下の工事でもアスベスト調査は必須です!
けい酸カルシウム板は壁材や天井材として使用されるほかに、火災の際に建物の骨組みである鉄骨を守るための被覆などに使用されている不燃・防火建材です。その耐火・耐水性能から広く利用されていますが、特定の時期に使われたけい酸カルシウム板にはアスベストが使われていることもあり、注意が必要です。
本記事では、けい酸カルシウム板とはどのような建材なのか、特徴やアスベストの含有について解説していきます。

けい酸カルシウム板とは?

けい酸カルシウム板の定義

けい酸カルシウム板は俗に「ケイカル板」と呼ばれることもある材料で、けい酸質原料、石灰質原料、補強繊維を主原料とする板状の建材です。
けい酸カルシウム板には耐火性や耐水性・耐湿性に優れており、丈夫で腐食しにくいという特徴があります。また、不燃材料として国土交通大臣の認定を受けています。外壁材として利用する際には、意匠性や耐久性を考慮して、けい酸カルシウム板に塗装をするなどして使用します。

けい酸カルシウム板は二種類に分類され、けい酸カルシウム板第1種けい酸カルシウム板第2種に分類されています。主成分は同じですが、「かさ比重」によって分類が分けられています。

#かさ比重とは

かさ比重とは、粉体や粒体、繊維体などの物質以外に空隙を含む物体の質量を外寸の体積で割った値のこと。 外寸という見かけから計算するため、「見かけの密度」「かさ密度」「見かけ比重」とも呼ばれます。同じ体積における重さ、とも言い替えることができます。

けい酸カルシウム板第1種:比較的薄くて重く(厚4mm~10mm)、密度が高いため固い。
けい酸カルシウム板第2種:主に分厚くて軽く(厚12mm~70mm)、密度が低いためけい酸カルシウム板第1種に比べて脆い。

けい酸カルシウム板の用途

けい酸カルシウム板は耐水性・耐湿性に優れていることから、キッチンや洗面所、浴室の天井や壁などの内装材として使用されています。さらに、耐火性にも優れていることから、軒天井や耐火間仕切壁、鉄骨の耐火被覆(火災の際に骨組みを炎から守る構造)等として利用することで、建物の耐火性能を高める目的で使用されています。

けい酸カルシウム板第1種の使用用途 例

  • ビル・工場・倉庫・店舗・学校・病院などの天井や壁及び軒天井に使用されている。
  • 特殊建築物や高層ビルなどの防火区画壁や内装制限を受ける天井や壁下地材として使用されている。
  • バルコニーの隔て壁に使用されている。
  • コンロ周囲の吊り戸棚の底板に使用されている。
  • 積層板(厚物)は、カーテンウォール等のバックアップ材に使用されている。
  • 立体駐車場や倉庫などの耐火外壁に使用されている。(外壁に使用する時は金属板などの不燃材料として使用され表面仕上げされている。)
  • ケーブルや配管の区画貫通仕切り板に使用されている。
  • 建材表面にレベル1建材の石綿含有吹付パーライトが施されている場合がある。
  • 化粧板下地としても利用されている。
  • ユニットバスやシステムキッチンの裏側壁や天井に施工されている場合がある。

けい酸カルシウム板第2種の使用用途 例

  • 柱や梁の耐火被覆材および不燃内装装飾材に使用されている。
  • ケーブルや配管の区画貫通処理材(パテのような使用方法)に使用されている。
  • 化粧板下地としても利用されている。

けい酸カルシウム板とアスベスト

石綿含有けい酸カルシウム板第1種は、比較的薄く、内外装材として使用されており、製造時期は1960年から2004年です。 石綿含有けい酸カルシウム板第2種は、比較的厚く、鉄骨造の耐火被覆材として使用されており、製造時期は1963年から1990年です。

【アスベスト】レベル3建材の中でも特に注意!けい酸カルシウム板第1種の特徴

こちらの記事でも見分け方などを掲載しています。併せてご参照ください。

けい酸カルシウム板第1種に限りその他のレベル3材料と区分され、厳しい措置が求められる理由としては、(レベル3建材の中で)アスベスト繊維の飛散性が高い=石綿暴露の危険性が高い材料であるからです。
本記事では、どのように見分けるべきなのかを解説いたします。

アスベストを含有するけい酸カルシウム板の除去工法

石綿含有けい酸カルシウム板第1種は、「レベル3」のアスベスト含有建材に該当します。レベル3の建材は比較的アスベスト飛散のリスクが少ないとされていますが、けい酸カルシウム板は湿潤の上、隔離養生をした上での作業が求められます。
石綿含有けい酸カルシウム板第2種は、「レベル2」のアスベスト含有建材に該当します。レベル2の建材はレベル3よりも注意が必要であり、レベル1と同程度の高い飛散防止・暴露対策が必要とされています。
けい酸カルシウム板第1種に限りその他のレベル3材料と区分され、厳しい措置が求められる理由としては、(レベル3建材の中で)アスベスト繊維の飛散性が高い=石綿暴露の危険性が高い材料であるからです。
よって、事前調査の段階でけい酸カルシウム板第とその他の材料について区分して考える必要があると考えられます。事前調査の際には、けい酸カルシウム板を見分けられるよう、その用途や特性などを留意しておくことが重要です。

まとめ

建物の解体や改修に際しては、事前にアスベストを含有する建材の使用状況を調査することが義務付けられています。
事前調査では、設計図書や仕様書等から使用されている建材の種類や製造年等を確認する書面調査と、現地で設計図書等と照合し、アスベストの含有が疑われる建材等を確認する現地調査により、アスベストを含有する建材の有無を判断します。
けい酸カルシウム板第1種は他のレベル3建材と異なる飛散防止・暴露対策が必要になり、第2種はレベル2材料となるため作業水準が高い材料です。よって、けい酸カルシウム板第1種・第2種のいずれの材料も工事前の事前調査の段階で、その他材料と見分け、アスベストの有無を確認することが重要な材料となります。
また、分析調査せずに『石綿含有みなし』での工事を行った場合、必要となる措置のうち最も厳しい措置を講じることが求められています。必要な措置を怠った場合は、アスベストの飛散・暴露事故につながる可能性があります。
事前調査によりアスベスト含有の有無を判断できない場合は、建材の試料を採取し、分析を行うことでアスベスト含有の有無を判断することが可能です。
工事に携わる事業様に置かれましては、本記事をご一読頂き、法令を遵守し企業活動を行って頂けますと幸いです。

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