不適切なアスベスト事前調査がもたらすリスクとは?!リスク回避の方法ついて解説!

本記事の要約

  • 石綿使用の有無の事前調査によって誤判定や調査不足が生じた場合、いくつかのリスクが発生する。
  • 実際に石綿が使用されているものを『使用なし』と誤判断した場合、追加費用や工期延長だけでなく、環境被害リスクや健康リスクが発生する。
  • 実際に石綿が使用されていないものを『使用あり』と誤判断した場合、必要な工費以上の費用を工事発注者様が負担することになる。また、実際には石綿の飛散の可能性の低い建築材料が石綿ありと誤判定されていたとしても、建築物の評価が風評被害的にマイナスになる可能性がある。

すべての工事においてアスベスト調査が必要

大気汚染防止法などの法改正により、解体・改修工事の前のアスベスト事前調査が「すべての工事において原則必須」※1となり、その調査結果を一定規模以上の解体工事もしくは一定金額以上の改修工事については調査結果の届出が必要※2となりました。

※1 調査の対象を外れる要件もいくつかございます(こちらの記事を参照)
※2 【よくある誤解!】100万円以下の工事でもアスベスト調査は必須です!
本記事では不適切なアスベスト事前調査がもたらすリスクとリスク回避の方法について解説します。

不適切なアスベスト事前調査が行われたことによるリスクのパターン

不適切なアスベスト事前調査が行われたことによるリスクは大きく2パターンに分類されます。

①	石綿の使用あり、と誤判断
②	石綿の使用なし、と誤判断

ただし、それぞれ【実際の工事対象にアスベストが使用されている/いない】によって、それぞれ想定されるリスクが異なります。

リスクが考えられる組み合わせとしては、以下の通りです。

①’	工事対象【石綿なし】- 石綿の使用ありと誤判断
②’	工事対象【石綿あり】- 石綿の使用なしと誤判断

以上の組み合わせにおいて、どのようなリスクがあるのか?リスクを負わないためにはどのようにする必要があるのか、続けてご説明いたします。

発生したリスクによって生じる事象

まずは、それぞれのパターンでどのようなリスクがあるのかを説明します。

以下の図をご覧ください。

前述の通り、ご判断(不適切な調査)によって生じるリスクは2パターンあります。
それぞれについて、以下に記します。
①’	工事対象【石綿なし】- 石綿の使用ありと誤判断

こちらのケースの場合、石綿が含まれていない建築物や部位を解体・改修工事を行うため、不要な石綿対策費用や工数が発生し、工費の肥大化や工期の長期化が考えられます。また、建築物そのものの評価にも直結するため、建築物の評価が風評被害的にマイナスになる可能性があります。
※資産価値評価や建築物の現状把握のための調査を行う事例も存在します。

②’	工事対象【石綿あり】- 石綿の使用なしと誤判断

こちらのケースの場合は、石綿が含まれている建築物や部位を【石綿対策せずに】工事をしてしまうため、解体・改修工事による飛散事故の原因となり、また、工事の作業従事者様への健康障害を引き起こす可能性があります。
工事周辺環境ならびに作業従事者様への石綿被害を発生することが懸念されるため、あってはならない状況といえるでしょう。

たとえ工事中に石綿の使用が発覚し対策を行ったとしても、当初予定していた予算を超えて石綿対策を行わなければならないため、追加の費用負担などが必要になります。
(それまで行われていた工事での飛散・暴露事故がなかったことにはならない点にも留意する必要があります。)

実際に誤判断が生じたケースを想定した事例検討

ここでは、想定される事例を以下に記します。
また、その事例によって『どういった対応が必要なのか?』『どういったリスクがあるのか?』を解説します。
想定内容:再開発事業にかかわる解体工事の際に生じた誤判定・調査ミス。

発覚状況:工事説明会にて調査内容に指摘があり、誤判定・調査ミスが発覚。

工事状況既に内装解体工事に一部着手済み。

誤判定詳細アスベストが実際に使用されていた建築材料を、アスベストなしと誤判定していたものが一部存在した。また、未調査の建築材料も存在した。
  1. 工事の停止
  • 現在進行している工事については、再調査が終了するまでは停止します。実際に起きた過去の事例にも、同様の対応を行った事例が多く存在します。
  1. 再調査の実施
  • 工事の内容において、調査の誤りが確認された部位/不足が確認された部位を再度調査行う必要があります。この工程にかかる費用と時間が追加コストとして必要になります。
  1. 工事再開に際して、アスベスト対策費用の追加発生
  • 再調査の結果、アスベストの使用が確認された場合、それぞれのレベルに応じた対策を講じる必要があります。この工程にかかる費用と時間が追加コストとして必要になります。
  1. 工事期間の延長
  • ②③で述べた通り、当初の工事計画を修正し、工事期間の延長が必要になります。
  1. 再調査結果・今後の工事内容についての説明を実施
  • 工事の再開に際して、自治体や周辺環境(住民等)、工事発注者様への説明会を行うケースも過去の事例として存在します。
  1. 既に実施した工事のリスク評価についての説明を実施
  • 既に施工した工事について、『周辺環境への影響』『作業従事者様への影響』『どの程度の健康リスクがあるのか』等の説明会を行うケースも過去の事例として存在します。
  • ⑤⑥で述べた説明会においても、費用と時間が追加コストとして必要になります。
  • ⑤と同時に実施するケースもございます。

リスクを回避するために留意すること

前述した誤判定によって生じるリスクを回避するためには、工事の発注前に調査の内容について十分な説明を受けることや調査結果について理解することが必要です。アスベスト使用の有無の事前調査については、元請け事業者様の責務と規定されていますが、調査機関や分析機関のような請負事業者様が行っているケースもあります。
※事前調査において、調査結果内容とそれを基にした施工計画を発注者様へ説明することは必要事項として挙げられています。

工事発注者様だけでなく、元請け事業者様においても受領した調査結果報告書の内容や工事の費用積算等が以下の点について訴求しているかどうかをしっかりと確認する必要があります。
  1. 信頼できる調査機関や分析機関に依頼しているか
  2. 工事対象部位に対して、網羅的に調査を行われているか
  3. 調査後、アスベストの使用が確認された材料について、範囲や数量は正確に報告されているか
  4. 調査結果を基に適切な施工計画が立案されているか
以上の内容を、発注者・元請け事業者・作業従事者それぞれの立場から確認する必要がございます。安全・適切な工事を行うために必ずご確認ください。

まとめ

本記事では、不適切なアスベスト事前調査がもたらすリスクについて解説させて頂きました。
本記事を整理すると、以下になります。
  • 石綿使用の有無の事前調査によって誤判定や調査不足が生じた場合、いくつかのリスクが発生する。
  • 実際に石綿が使用されているものを『使用なし』と誤判断した場合、追加費用や工期延長だけでなく、環境被害リスクや健康リスクが発生する。
  • 実際に石綿が使用されていないものを『使用あり』と誤判断した場合、必要な工費以上の費用を工事発注者様が負担することになる。また、実際には石綿の飛散の可能性の低い建築材料が石綿ありと誤判定されていたとしても、建築物の評価が風評被害的にマイナスになる可能性がある。
工事に携わる事業様に置かれましては、本記事をご一読頂き、法令を遵守し企業活動を行って頂けますと幸いです。

アスベスト分析調査はデイラボへ

アスベストを含有するスレートは著しい劣化や破損がなければ、一般的にはアスベスト飛散のリスクは低いとされていますが、適切に撤去や処分を行わないとアスベストが飛散し、健康被害を引き起こす可能性があります。
またレベル3建材の種類が多い上、一般の戸建て住宅にも使用されており、リフォーム工事や解体工事を請け負う業者の知識や技能の不足などから、事前調査や飛散防止対策が十分に講じられないまま工事が実施されてしまう例もあります。

解体や撤去の際には建物に使用されているアスベスト含有建材を調査し、適切な工事をしてくれる業者に依頼しましょう。

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受付は全国対応しており、関東圏のお客様においては直接持ち込み頂くことも可能です。
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アスベスト分析を検討される場合は是非デイラボまでお問い合わせください。
解体・改修工事におけるアスベスト事前調査は原則すべてのものが対象です。
誤った認識により、行政指導を受けないように適切な対策を実施頂ければと思います。
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1時間程度のお時間を頂き、今回の法改正で変わったこと/今後対応しなければいけないこと/発注者様への説明/工事時に気を付けなければならないことなどをお話させて頂きます。
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