石綿使用の有無の事前調査結果の電子報告の方法や注意点について解説!

本記事の要約

  • 元請け事業者が提出する必要がある。(届出の業務委託等は不可)
  • 事前調査を委託した場合は、元方(元請)と請負事業者の両方に調査を実施した者等の情報を記入する。
  • 同一種類の材料が複数あり、調査の結果、含有・非含有のものが混在する場合は、石綿含有のものを基に入力する。
  • 電子報告システム上で記載のない材料は、その他の材料欄に記載する。(記載がない=調査の対象から外れる、ではない)
  • 電子報告システムへの登録は、調査結果の保管にはならない。

すべての工事においてアスベスト調査が必要

大気汚染防止法などの法改正により、解体・改修工事の前のアスベスト事前調査以下、事前調査「すべての工事において原則必須」※1となり、その調査結果を一定規模以上の解体工事もしくは一定金額以上の改修工事については調査結果の届出が必要※2となりました。

※1 調査の対象を外れる要件もあります(こちらの記事を参照)
※2 【よくある誤解!】100万円以下の工事でもアスベスト調査は必須です!
本記事では石綿使用の有無の事前調査結果の電子報告の方法や注意点について解説します。

事前調査結果の届出に際して注意すべき点

事前調査の結果は、行政の公開している石綿事前調査結果報告システム(以下、電子報告システム)にて、インターネット上で届け出ることが可能となっています。
この事前調査結果の届出に際して、注意すべき点を以下に記します。
  • 元請け事業者が提出する必要がある。(届出の業務委託等は不可)
  • 事前調査を委託した場合は、元方(元請)と請負事業者の両方に調査を実施した者等の情報を記入する。
  • 同一種類の材料が複数あり、調査の結果、含有・非含有のものが混在する場合は、石綿含有のものを基に入力する。
  • 電子報告システム上で記載のない材料は、その他の材料欄に記載する。(記載がない=調査の対象から外れる、ではない)
  • 電子報告システムへの登録は、調査結果の保管にはならない。

実際の入力画面(システム画面)

上記を踏まえて、実際のシステム画面を確認しながら、ご説明します。また、システム画面イメージは以下の厚生労働省サイトで公開されています。システム画面イメージ

ログイン画面

こちらのログイン画面では、GビズID(複数の行政サービスにログインできる法人・個人事業主向け共通認証システム)でのログインやGビズIDの作成ができます。また、本システムについてのFAQ(よくある質問)や更新情報などを確認することができます。

トップページ

こちらでは電子報告システムにおける主なサービスについての項目が表示されています。

  • 新規申請・・・新規の事前調査結果をインターネットブラウザ(※)上で登録します。
  • 下書き一覧・・・一時保存した申請を確認できます。
  • 一括申請・・・一括申請の様式(Excel)を用いて、複数の案件を一括で申請できます。
  • 申請一覧・・・過去に申請した内容を確認できます。追加の調査が発生した場合、こちらから変更することができます。

※Microsoft EdgeやGoogle Chrome、Safariなどのインターネット閲覧ソフトウェア

新規申請画面(元方入力)

まず、はじめに元方(元請)事業者情報を記入する必要があります。
こちらの項で入力する内容は以下の通りです。
  • 元方(元請)事業者情報
  • 工事発注者情報
  • 工事現場情報
  • 建築物の概要
  • 調査、分析を実施した者 ※1
  • 申請先(工事現場情報から自動で入力されるが、特別な理由※2 で変更が必要な場合は変更する)
※1 「事前調査を実施した者」及び「分析調査を実施した者」については、事前調査又は分析調査を実施した者が元請事業者(又はその労働者)でない場合も、元方(元請)事業者情報の欄に記載してください。
請負事業者(又はその労働者)にて事前調査を実施した場合には、元請(元方)事業者情報の欄に加え、請負事業者の欄にも入力してください。
※2 船舶に関する報告の場合は労働安全衛生法(石綿障害予防規則)のみとなります。一人親方、自主施工者からの報告の場合は大気汚染防止法のみとなります。

新規申請画面(請負入力)

次に請負事業者に関する事項を入力します。
こちらの画面で石綿に関する作業を請け負わせている事業者を追加します。
こちらの項で入力する内容は以下の通りです。
  • 石綿作業の請負事業者情報
  • (請負事業者にて調査、分析を行った場合)調査、分析を実施した者

事前調査の結果および予定する石綿の除去等に係る措置の内容についての入力画面

次に事前調査の結果および予定する石綿の除去等に係る措置の内容を入力します。
こちらの画面で事前調査の結果および予定する石綿の除去等に係る措置を入力します。
こちらの項で入力する内容は以下の通りです。
  • 石綿含有の有無(結果の異なる同一材料が複数ある場合は、含有のものを代表して入力)
  • 含有なしと判断した根拠
  • 石綿作業の種類
  • 切断等の有無
  • 作業時の措置
上記における【含有なしと判断した根拠】については注意が必要です。
この根拠については以下の内容がありますが、後述する注意点について留意してください。
  • 目視 ※1
  • 設計図書(4を除く)※2
  • 分析
  • 建築材料等の製造者の証明
  • 建築材料等の製造年月日

注意点

※1 目視による含有なしの判断については、以下の点に注意する必要があります。
レベル1(吹付材)やレベル2(保温材、断熱材等)については目視による石綿含有の有無については判断できません。ただし、けい酸カルシウム板第2種等については、材料表面上の表示により判断できる場合があります。
レベル3(成形板等)の材料については、裏面等の表示(メーカー名、不燃認定番号、JIS番号等、ロット番号、商品名、製造工場名、アスベストマークなど)を確認し、石綿の有無に関する情報から、石綿なしの判断を行うことができます。パッと材料を見ただけで判断できるものではないので、申請の際には注意が必要です。

※2 設計図書(4を除く)による含有なしの判断については、設計図書に記載された情報と実際に施工されている建材と相違がないことを確認する必要があります。
また、こちらにない材料種類(名称)については、その他の建築材料に記載+自由記入欄に材料名と各判断を記載することが望ましいと考えられます。

事前調査結果の電子報告の際の注意点の詳細

事前調査結果の電子報告を行う際に、特に注意すべき点がいくつかあります。
それらについて詳細を以下に記します。

元請け事業者が提出する必要がある。(届出の業務委託等は不可)

Q. 請負業者が代行して石綿事前調査結果報告システムで報告を行うことは可能でしょうか。

石綿事前調査結果報告システム FAQ(よくあるご質問)‐ Q1−20

A. 事前調査結果の報告は元方(元請け)事業者が実施する必要があり、事前調査結果報告システムにおいて請負事業者が代行で報告を行うことはできません。

事前調査を委託した場合は、元方(元請)事業者情報と請負事業者情報の両方に調査を実施した者等の情報を記入する。

Q. 事前調査や分析調査を業務委託先や下請け業者が実施した場合、各調査実施者の入力はどうすればよいですか。

石綿事前調査結果報告システム FAQ(よくあるご質問)‐ Q5−14

A. 「事前調査を実施した者」及び「分析調査を実施した者」については、事前調査又は分析調査を実施した者が元請事業者(又はその労働者)でない場合も、元方(元請)事業者情報の欄に記載してください。
事前調査又は分析調査を実施した者が請負事業者(又はその労働者)である場合には、元請(元方)事業者情報の欄に加え、請負事業者の欄にも入力してください。

同一種類の材料が複数あり、調査の結果、含有・非含有のものが混在する場合は、石綿含有のものを基に入力する。

Q. 複数の保温材を事前調査した場合、保温材の入力箇所は1つしかないのですが、どうすればよいですか。

石綿事前調査結果報告システム FAQ(よくあるご質問)‐ Q5−18

A. 同一の建材において石綿含有の物と非含有の物が混在している場合は、石綿含有の材料について、作業の種類、切断等の有無、作業時の措置を入力してください。

電子報告システム上で記載のない材料は、その他の材料欄に記載する。(記載がない=調査の対象から外れる、ではない)

Q. 事前調査の結果を入力する際に、材料種類ごとに入力する必要がありますが、記載がない建材については全て「その他の材料」に入力すればよいですか。

石綿事前調査結果報告システム FAQ(よくあるご質問)‐ Q5−20

A. 作業対象の材料の種類に記載がない建材については、「その他の材料」の欄に入力してください。

Q. 事前調査の結果を入力する際に、配管やダクトのフランジ部のガスケットは、材料の分類としては「その他の材料」への入力でよいですか。

石綿事前調査結果報告システム FAQ(よくあるご質問)‐ Q5−19

A. その他の材料欄には、吹付材〜ロックウール吸音天井板までの建材に該当がないもの全てを記入していただく趣旨であり、ガスケットもこれに含まれます。

電子報告システムへの登録は、調査結果の保管にはならない。

Q. 石綿事前調査結果報告システムで報告した場合は、事前調査結果の資料保存義務を果たしていることになりますか。

石綿事前調査結果報告システム FAQ(よくあるご質問)‐ Q1−12

A. 元方(元請)事業者は、石綿障害予防規則及び大気汚染防止法に基づき、事前調査の結果の記録を作成し、事業者側で3年間保存することが必要です。
石綿事前調査結果報告システムにて報告いただく内容は、報告に即した簡易な情報であることであることから、報告内容のみでは事前調査の結果の記録に必要な情報が足りません。事前調査の結果の記録は、事前調査結果の報告とは別に法令に基づく必要な事項を満たした記録を保存いただく必要があります。

まとめ

建物の解体や改修に際しては、事前にアスベストを含有する建材の使用状況を調査することが義務付けられています。
事前調査結果の報告は、アスベスト含有の有無に係わらず一定の規模以上の工事については必須になります。本記事では、事前調査結果の報告システムの概要と注意点等について掲載させていただきました。報告システムはあくまで報告用の簡易な情報のみが入力できるようになっているため、必要な情報を正確に入力することが大切です。特にアスベストなしと判断した根拠が重要となります。
事前調査(書面・目視調査)によりアスベスト含有の有無を判断できない場合は、建材の試料を採取し、分析を行うことでアスベスト含有の有無を判断することが可能です。
工事に携わる事業様に置かれましては、本記事をご一読頂き、法令を遵守し企業活動を行って頂けますと幸いです。

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