エアコン2027年問題 ―「なぜ調査が必要?」に答えられますか?

  • アスベスト調査

2026.06.08

エアコン2027年問題 ―「なぜ調査が必要?」に答えられますか?
  • エアコンの2027年問題により、省エネ基準の引き上げに伴う製品入れ替えが進み、今後エアコン設置工事の増加が見込まれている。
  • エアコン設置や交換工事において、既存の建築物に何かしらの加工を伴う場合にはアスベスト事前調査が必須である。
  • 調査の必要性を見落としたまま工事を進めると、工期や費用への影響、施主対応上のトラブルに繋がる為、余裕を持った対策が必要。
  • 調査の要否判断からスケジュール管理、施主への説明まで含めた事前対応が、適正な工事運用とリスク回避の観点で重要である。
  • アスベストの調査・採取・分析、基本的な体制づくりのサポートはデイラボへ!

そのエアコン工事、本当に“ただの交換”で済みますか?

エアコンの2027年問題を背景に、今後家庭用エアコンの買い替えと取り付け工事が増加していくことが予想されます。その裏で、見落とされがちなのがアスベスト対応です。

エアコン工事で「なぜアスベスト調査が必要なのか」と疑問に感じる方もいるかと思います。
本記事では、エアコンの2027年問題の全貌と、エアコン工事においてアスベスト事前調査が必要な場合の解説、そして調査を怠った際の罰則・リスクを踏まえ対策の実務ステップまで説明します。

家庭用エアコンの設置工事は一般家庭に携わるケースも多くございますので、トラブルを防ぐために事前にしっかりポイントを押さえておきましょう。


“エアコンの2027年問題”とは

“エアコンの2027年問題”とは、経済産業省が進める省エネ政策(トップランナー制度)により、2027年度から新たな省エネ基準が適用されることに起因しています。
実際に資源エネルギー庁の資料でも、2026年度までの基準から新たな基準へ移行することが示されており、今後の製品や市場に影響を与えると考えられています。

家庭用エアコンの省エネ基準の引き上げ

日本の省エネ基準は、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」に基づいて定められており、エアコンなどの空調機器については段階的に基準が引き上げられています。
この中で採用されているのが「トップランナー制度」で、各製品分野において最も優れた省エネ性能を持つ製品を基準とし、その達成が求められています。

家庭用エアコンにおいても、この制度に基づき、目標年度ごとに省エネ基準が見直されてきました。そして、次なる目標年度である2027年度に向けて、現行基準よりも大幅な引き上げが決定されています。
この基準見直しにより、製品仕様や価格、市場動向にも影響が出ると考えられており、これがいわゆる「エアコンの2027年問題」と呼ばれている背景です。

参考:経済産業省 資源エネルギー庁|エネルギー消費機器製造事業者等の省エネ法規制

エアコンの2027年問題により起こりうること

このエアコンの2027年問題は、エアコンを取り巻く市場全体に広範な影響を及ぼします。主な影響は以下の通りです。

メーカー・流通への影響

  • 製品ラインナップの再編
    基準を満たさない既存モデルは製造・販売が終了し、メーカーはより省エネ性能の高い新製品の開発・生産に注力します。これにより、高性能モデルへの移行が加速すると予想されます。
  • 製品価格の上昇
    高度な省エネ技術や環境に配慮した冷媒の採用により、エアコン本体の製造コストが増加し、結果として販売価格が上昇する可能性があります。

消費者への影響

  • 買い替え需要の増加
    基準変更を前に、既存のエアコンの買い替えを検討する家庭が増えることが予想されます。
  • 電気代の削減効果
    新しい基準を満たすエアコンは、省エネ性能が格段に向上しているため、買い替えによって長期的に電気代の削減効果が期待できます。これは、家計にとって大きなメリットとなるため、購入の増加が予想されます。

設置・工事事業者への影響

  • 工事需要の増加
    買い替え需要の増加に伴い、エアコンの交換や新規設置、取り外し工事の件数が大幅に増加することが見込まれます。

こうした変化により、今後エアコンの設置工事が増加することが予想されます。一方で、エアコン設置の際にアスベスト調査が必要となるケースがあるということは、まだ十分に認識されていないのが現状です。

では、実際にエアコン工事とアスベスト調査にはどのような関係があるのでしょうか。


エアコン工事とアスベスト調査の関わり

エアコンの設置や交換といった工事は、一見するとアスベストとは無関係に思えるかもしれません。しかし、既存の建材に何かしらの加工を施す場合はアスベスト調査が必須です。

なぜエアコン工事でアスベスト調査が必要なのか

エアコンの設置や交換工事では、壁に穴を開けたり、配管を通すために天井や壁の一部を解体したり、既存の断熱材を撤去したりする作業が伴う場合がございます。
設置に伴うこれらの作業は、建物の仕上げ材や下地材に直接手を加えることになり、アスベストを含む建材に接触するリスクが生じます。
もし建材にアスベストが含まれていた場合、アスベスト繊維が空気中に飛散する危険性があるため、既存の建材に何かしらの加工を施すエアコン設置工事の場合はアスベスト調査が必要となります。

特に、古い建物では壁や天井、配管の断熱材などにアスベストが使用されている可能性があり、工事中にこれらを破損させてアスベストが飛散すると、作業者だけでなくその家の居住者や近隣住民の健康に重大な影響を及ぼすリスクがあるため特に注意が必要です。

調査を怠った場合の罰則とリスク

アスベストの事前調査義務を怠った場合、事業者には厳しい罰則が科せられるだけでなく、様々なリスクを負うことになります。

法的罰則・リスク

■ 石綿障害予防規則違反
事前調査義務違反や作業主任者の未選任、作業計画の未作成などに対しては、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

大気汚染防止法違反
特定建築材料の除去等作業基準違反や届出義務違反などに対しては、3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

■ 建築基準法関連
特定行政庁からの是正命令等に従わない場合、行政処分や罰則の対象となる可能性があります。

健康被害のリスク

調査を怠りアスベストが飛散した場合、工事作業者だけでなく、建物の利用者や近隣住民が吸入する可能性があります。その結果が健康被害に繋がるおそれがあり、企業や事業者にとって重大な責任問題に発展する可能性があります。

工事の中断・遅延

工事中にアスベスト含有建材が発見された場合、作業は一時中断となり、改めて調査や除去計画の策定が必要になります。その結果、工期の大幅な遅延・追加費用の発生・施主との関係悪化といった影響が生じる可能性があります。

社会的信用の失墜

アスベスト問題は社会的な関心が高く、健康被害や法令違反が発覚した場合、企業イメージの低下、風評被害、訴訟問題などに発展し、事業継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクを回避するためにも、エアコン工事を行う際は、建物の築年数や工事内容から、アスベストの事前調査の必要性を常に意識し、適切な対応を取ることが重要です。


エアコン2027年問題に備える具体的なステップ

ここまで解説してきたようにエアコン2027年問題により、今後はエアコンの更新工事が増加していくと見込まれ、それと共にアスベスト調査の必要性も重要視されます。
特に必要なことが、アスベスト調査を含めた事前準備です。ここでは、現場で困らないために押さえておきたい具体的な対応ステップを整理します。


―― STEP1|まずは「調査が必要か」を判断する

まず最初に行うべきは、アスベスト調査の要否判断です。

2006年9月1日以前に着工された建物で、エアコン設置の際に既存の建築物の壁・天井への穴あけ・切断など何かしらの加工を伴う工事の場合はアスベスト調査が必須です。

また、STEP1で調査が必要と判断された場合、その後の工程は通常のエアコン工事とは大きく異なるため、早めに次の対応へ進むことが重要です。

―― STEP2|調査から工事までの全体フローを理解する

調査が必要となった場合、工事は以下のような流れで進みます。
➀事前調査(書面+目視)
②①でアスベストの有無を判断できない場合は必要に応じて試料採取・分析
③調査結果の報告(※一定規模以上は電子報告)
④含有有無に応じた施工計画の見直し
⑤除去等対策工事(必要な場合)
⑥本工事(エアコン設置)

単なる“確認作業”ではなく、工事全体の前提が変わることを理解しておきましょう。

―― STEP3|スケジュールは調査起点で組む

アスベスト対応では、調査、分析、結果確認、必要に応じた除去等工事、そして報告といった複数の工程を考慮する必要があります。

特に重要なのは、事前調査の結果報告を工事着工前に完了させる必要がある点です。
そのため、工事直前に調査を行うのではなく、調査を起点として全体のスケジュールを組むことが求められます。

対応が遅れると、工事の遅延や再調整が発生する可能性があるため注意が必要です。

―― STEP4|費用は調査結果によって大きく変わる

調査結果によって費用は大きく変わります。

■ 含有なし → 通常工事
■ 含有あり or みなし → 除去等の対策工事+産廃費用発生

特に「みなし」判定の場合は、必要となる対策の中で最も厳しい対応が必要となるため、コストが大きく膨らむ可能性が大いにございます。
また、本来アスベストが使用されていない​材料を、アスベスト対策をして撤去​することになるため、無駄な費用・労務コスト増や​工期の延長に繋がる可能性があります。

―― STEP6|施主への説明を事前に行う

アスベスト調査が必要な場合、施主への説明は非常に重要です。
特にエアコン工事では、一般家庭のお客様であるケースも多く、専門知識がない前提で分かりやすく伝える必要があります。

アスベスト調査の概要、調査結果によって工期や費用にも影響が出る可能性があることを、事前に説明しておきましょう。

また、説明は工事直前ではなく、見積もり段階など早いタイミングで行うことが重要です。
後からの説明になるほどトラブルにつながりやすいため、あらかじめ共有しておくことで、スムーズな工事に繋がります。


アスベスト対応は、事前の判断と準備によって工事の内容や工期、費用に大きく影響します。
また、対応を行わないまま進めてしまうと、施主から指摘を受けるケースもあり、会社としての信頼にも関わる問題に発展する可能性があります。

さらに、言うまでもなく、アスベスト粉塵が飛散してしまうと作業者や居住者・近隣住民への健康被害に繋がるおそれもあります。
エアコン工事が増えるこれからに備え、早めの確認と適切な対応を行っていきましょう。


まとめ:アスベスト調査・採取・分析は信頼と実績のデイラボへ

本記事では、エアコンの2027年問題を背景に、今後増加が見込まれるエアコン工事とアスベスト調査の必要性について解説しました。
エアコンの設置や交換といった一見小規模な工事であっても、壁や天井への加工を伴う場合には事前調査が必要となるケースがございます。こうした対応を見落としたまま工事を進めてしまうと、工期の遅延や追加費用の発生だけでなく、施主からの指摘や信頼低下につながる可能性もあります。さらに、アスベストの飛散は作業者や周囲への健康被害にも直結する重要なリスクです。

エアコン工事が増加するこれからの時期に備え、調査の要否判断から施主対応、スケジュール管理まで含めた事前準備を徹底し、適切なアスベスト対応を進めていきましょう。

アスベストに関して少しでも判断に迷う点や不安な点がある場合は、デイラボまでお気軽にご相談ください。
弊社では事前調査一式、採取、分析だけといった依頼もお受けすることが出来ますので、是非ご相談ください。その他アスベストに関して初歩的な質問でも構いません。会社のアスベスト対策に関しての体制づくりも一からサポートいたします。
ご相談・ご不明な点等ございましたら、お気軽に株式会社デイラボまでお問い合わせください。

TIPS「石綿とは?」

「石綿」とは「せきめん」「アスベスト」とも呼ばれており細長い形の天然の鉱物繊維である。
優れた特性を持っている反面、微細なものがいったん空気中に放出されると、消滅することなく長期浮遊し、人がそれを吸い込むと病気になる危険性が高まることから、石綿ばく露を防止することは極めて重要な課題となっている。

引用:建設業労働災害防止協会|石綿作業主任者技能講習テキスト

<調査結果報告書 サンプル>

<分析結果報告書 サンプル>

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