【図解】「アスベストみなし判定をすれば事前調査は不要」は間違い?徹底解説!

本記事の要約

  • アスベスト事前調査の不備による指導・摘発が増加傾向
  • みなし判定を選択しても事前調査や結果報告は必要
  • よくある間違ったフローと正しいフローを図解で説明
大気汚染防止法などの法改正により、解体・改修工事の前のアスベスト事前調査が「すべての工事において原則必須」※1となり、その調査結果を一定規模以上の解体工事もしくは一定金額以上の改修工事については調査結果の届出が必要となりました。

※1 調査の対象を外れる要件もいくつかございます(以下記事を参照)

みなし判定の選択方法トータルコストについて解説

  1. 工事におけるアスベストの事前調査は法律で定められた義務であり、一部の例外を除いて必須である
  2. アスベストの調査が不要なのは、アスベストの飛散リスクがない条件を満たす場合である
  3. アスベストの調査が不要な条件を満たすのは現実的にはごく一部のケースである
2022年12月01日に環境省より報道発表された「令和4年度建設リサイクル法に係る全国一斉パトロール等の実施結果」では以下のように報告されており、非常に多くの工事現場にて石綿事前調査についての不備があったことが挙げられております。

<今年度6月~7月及び10月~11月において、都道府県及び政令市等の建設リサイクル法担当部局、環境部局及び労働基準監督署の職員が建設工事現場に立入り、以下の観点で状況確認・指導等を実施しました。
【建設リサイクル法担当部局】建設リサイクル法の遵守状況の確認及び周知徹底
【環境部局】廃棄物処理法、大気汚染防止法及びフロン排出抑制法の遵守状況の確認及び周知徹底
【労働基準監督署】労働安全衛生法、石綿障害予防規則の遵守状況の確認及び周知徹底

対象法令名:大気汚染防止法
立入件数:5,194件
行政指導件数:1,941件
行政指導の概要等:主に事前調査結果の報告・掲示の不備に関する指導でした。命令はありませんでした。

令和4年度建設リサイクル法に係る全国一斉パトロール等の実施結果

なぜ、このようなことが起こってしまっているのか、その一因として”みなし”でのアスベスト含有懸念建材の取り扱いについての勘違いや思い違いがあると考えられます。
本記事では誤ったみなし判定の認識により、危険な工事を行わないように(且つ、行政指導を受けないように)解説いたします。

アスベストのみなし判定とは?

対象の建材に対して「アスベストが入っているものとのして扱う」ことが出来る判定です。
アスベスト含有のあり/なしをはっきりと判断するには、デイラボのようなアスベスト分析の専門機関に分析を依頼する必要があります。一方で、分析を行わずアスベスト含有しているものとして扱う方式をみなし判定と言います。

みなし判定の詳細は、以下の記事にて選択方法やトータルコストの考え方を解説しておりますので、是非ご確認ください。

みなし判定の選択方法トータルコストについて解説

  • 採取・分析を行わずにアスベストが含有していると扱う「みなし判定」という手法がある
  • みなし判定を採用した場合、必要となる可能性がある措置のうち最も厳しい措置を講じなければならない
  • みなし判定 or アスベスト分析の判断は、「みなし判定を選択せざるを得ない場合」を除き、トータルの手間とコストから判断する
  • トータルコストはアスベスト含有の確率によって変化する

”みなし”で工事をする場合においても事前調査結果の備え付け/届出/発注者への説明は義務!

以下、厚生労働省の代表的な法令に「みなし」について記載されている内容を要約すると、
「”みなし”は、適切な措置(飛散防止、安全衛生等)を講ずる場合、分析調査を省略できる」と記載されています。

みなし判定は、あくまで分析調査を省略できるものであって、「書面調査/目視調査」「調査結果報告書の作成/届出」その他必要な措置を簡略化できるものではないということです。

第二章 石綿等を取り扱う業務等に係る措置
第一節 解体等の業務に係る措置
(事前調査及び分析調査)
第三条 3項4 事業者は、事前調査を行ったにもかかわらず、当該解体等対象建築物等について石綿等の使用の有無が明らかとならなかったときは、石綿等の使用の有無について、分析による調査(以下「分析調査」という。)を行わなければならない。ただし、事業者が、当該解体等対象建築物等について石綿等が使用されているものとみなして労働安全衛生法(以下「法」という。)及びこれに基づく命令に規定する措置を講ずるときは、この限りでない。

石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)

(2)分析調査
書面調査及び現地での目視調査で石綿含有の有無が把握できない場合は、現地で当該建材を採取し、分析調査を行う。ただし、石綿含有が不明な建材を石綿含有ありとみなして飛散防止対策を行う場合は分析調査を行う必要はない。石綿含有ありとみなした場合、除去等の際は、例えば吹き付けられた材料であればクロシドライトが吹き付けられているものとみなして措置を講じる等、必要となる可能性がある措置のうち最も厳しい措置を講じなければならない。

建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル(令和3年3月)

表 1.3 各建材の石綿の有無に関する判断の概略
・石綿の含有の有無が不明な場合においては、石綿則第3条第5項に基づく分析調査を行う必要があるが、石綿が含有されているとみなして法令上の措置を講じる場合には、分析を行わないことができる。

石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル【第2版】

よくあるみなし判定の間違い例(図解)

事前調査から調査結果報告までのプロセスから、よくある間違った例をご紹介します。
以下の例では、みなし判定を選択した際に書面調査や現地での目視確認を行っていません。

更に、調査結果報告書を作成しておらず、報告書を現場に備え付けないまま工事を行っているという事例もございます。みなしと判定した場合でも、調査結果報告書の作成は必須であり、発注者・作業者への説明なしに工事を進めると行政指導や罰則の対象となる場合があります。
※届出はしていても調査結果報告書を作成していないという事例もございます。

■事前調査から報告までのプロセス(よくある間違った事例)

みなしを選択することとなっても、書面調査及び現地での目視調査を原則として実施する必要があります。加えて、調査結果報告書を作成し、要件規模以上となれば届出を行い、現場への調査結果報告書の備え付け、及び発注者への説明が必要です。

また、みなし建材の暴露・飛散対策・施工計画・特別管理産業廃棄物(レベル1、2)、石綿含有廃棄物(レベル3)としての廃棄も必要となってきます。
※みなし判定とした場合、必要となる可能性がある措置のうち最も厳しい措置を講じなければなりません

■事前調査から報告までのプロセス(正しいフロー)

《建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル 令和3年3月版》

適切な調査・適切な工事を

昨今のアスベストに対する法規制の強化から、今後一層厳しい取り締まりが行われることと予想します。皆様におかれましても、適切な対応を実施頂ければと思います。

みなし判定の場合に実際にかかるコスト試算については、弊社のグループ会社のアスマップにてコストを試算できるシステムを構築いたしました。
費用の算出だけでなく、社員教育の勉強会も実施することも可能ですので、アスベストにお困りの際は是非、弊社のグループ会社のアスマップまでご連絡ください。

アスベスト分析調査はデイラボへ

みなし判定ではなく、アスベストの分析調査を選択される場合には是非デイラボにご相談ください。

デイラボでは、24時間でアスベスト分析結果報告を行う「1DAYプラン」をご用意しております。また、計画的なアスベスト分析には、納期を調整することで費用を抑えられる「S(ショート),M(ミドル),L(ロング)」等、お客様のニーズに合わせたプランを提供しております。

受付は全国対応しており、関東圏のお客様においては直接持ち込み頂くことも可能です。
国内最大級ラボを構えており、大量検体の分析を行うことも可能です。

アスベスト分析を検討される場合は是非デイラボまでお問い合わせください。

まとめ

みなし判定は、必要な処置を講じれば分析調査を省略できるものであって、「書面調査/目視調査」「調査結果報告書の作成/届出」その他必要な措置を簡略化できるものではございません。
みなし判定の誤った認識により、行政指導を受けないように適切な対策を実施頂ければと思います。
弊社では、アスベスト分析業務だけでなく、貴社社員・協力業者様向けのアスベスト事前調査についての勉強会なども行うことも可能です。

1時間程度のお時間を頂き、今回の法改正で変わったこと/今後対応しなければいけないこと/発注者様への説明/工事時に気を付けなければならないことなどをお話させて頂きます。
対面でもZOOMなどでのウェビナーでも対応可能ですので、まずはお気軽にお問合せください。
また、このような情報も含め、アスベストに関する最新情報をメールマガジンとして配信も行っております。

※配信対象は、お取引を頂きましたお客様に加え、お見積りを提出させていただきましたお客様も対象となりますので是非一度お問い合わせ頂ければと思います。