6月~7月は石綿行政パトロール月間です⚠️ ~昨年結果と違反事例、対策を徹底解説~

本記事の要約
石綿(アスベスト)行政パトロールとは
石綿行政パトロールとは、各都道府県労働局の労働基準監督署が各自治体の担当局と合同で実施する、石綿(アスベスト)の使用実態の把握と、アスベストによる健康被害の防止を目的とした調査活動です。
事業者が石綿関連法規を遵守しているかを確認し、違反が発見された場合は指導や勧告、さらには罰則を適用することで、アスベストの適正な管理を推進することを目指しています。
本記事では、事業者の方はもちろん、建築物に関わるすべての方が、アスベストに関するリスク管理と法令遵守を徹底するための対策を詳しく解説していきます。
パトロールの実施機関や概要
石綿行政パトロールは、各都道府県労働局の労働基準監督署が、各都道府県および特定行政庁の建設リサイクル法担当部局および環境部局と合同で実施しています。 具体的には、労働者への石綿のばく露防止対策の徹底や再生砕石への石綿含有産業廃棄物の混入防止の徹底について国土交通省、環境省と連携し、現場指導や監視の徹底を図っています。 実施期間は毎年6月~7月、10月~11月と概ねの期間が設定されておりますが、都道府県・市区町村により異なります。今年に関しては未だ厚生労働省からの発表はない状況ですが、今後の突然の発表や、過去の結果から重点的にパトロールが必要と判断された地域や建築物についてはより高い頻度で実施される可能性もあります。 昨今の傾向としては、目についた現場を抜き打ち検査(工事規模関係なし)、パトロールに労働基準監督官が同行などといったケースが増加しています。
昨年(令和6年)のパトロール結果
立入現場数(うち石綿あり ※1) | 立入現場数のうち、石綿則第4条の2に基づく事前調査結果報告の有無(※2) | 立入現場数のうち、石綿指導あり(※2) | 石綿指導ありのうち、石綿則第3条8項の事前調査結果の備え付け、掲示について指導(※3) | 石綿指導ありのうち、石綿則第35条の2の写真等による作業の実施状況の記録について指導 | |
令和6年 | 3,534 (1,668) | 2,349 | 1,048 | 777 | 221 |
- ※1 石綿ありが明らかなもの(アスベストアナライザーにより石綿含有を確認したもの、事業者が石綿則第3条5項ただし書きに基づきありとみなしたものを含む)。立入日時に石綿作業をしていたか否かに限らない。
- ※2 指導は、文書指導に限らず、口頭指導を含む。石綿のない現場において、石綿の指導を行った場合を含む(例:事前調査結果の掲示)。
- ※3 石綿なしの現場を含む。当該現場の備え付け・掲示/記録の有無または内容について不備等があり、指導を行ったもの。文書指導に限らず、口頭指導を含む。厳密に違反であるか否かは問わない。
調査結果の報告の有無については7割近くの立入現場が指導を受けている。また、現場への掲示や備え付けの不備などについての指導も立入現場全体の2割以上の件数となっている(「石綿指導あり」となった現場の内、7割以上が事前調査結果の備え付けや掲示をしていなかったという結果になっている)。 参考URL:厚生労働省|建設リサイクル法に係る全国一斉パトロール

【2023年度(令和5年度)】建設リサイクル法に係る全国一斉パトロール等の実施結果と、これを受けて注意すべき点!
こちらの記事では、昨年のパトロール結果や注意すべき点を解説しております。
注意点も細かく記載しておりますので是非併せてご参照ください。
本記事では、【2023年度(令和5年度)】建設リサイクル法に係る全国一斉パトロール等の実施結果と、これを受けて注意すべき点について掲載いたします。
具体的な罰則内容とは?

石綿に関する法規制は厳しく、立ち入り検査によって違反が発見された場合、様々な罰則が科せられます。
事前調査を怠った場合
事前調査の結果報告を怠った場合
一定規模(解体工事の場合は解体部分の延べ床面積80㎡、改修工事の場合は請負金額が100万円)以上の解体・改修工事の場合、事前調査の結果を労働基準監督署に電子システムで報告する必要があります。これを怠った場合、大気汚染防止法・石綿障害予防規則違反となります。
罰則の内容
6か月以下の懲役又は30~50万円以下の罰金
調査結果を現場に掲示しなかった場合
建築物等の解体等の作業を行う際は、石綿含有の有無に関する事前調査結果の概要等を、労働者が見やすい箇所に掲示することが必要です。これを怠った場合、石綿障害予防規則違反となります。
罰則の内容
6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金
除去等作業時の適切な措置を怠った場合
除去等作業時は発生源の湿潤化対策や保護具・隔離措置・立ち入り禁止の表示等、除去作業時の適切な措置が必要です。これを怠った場合、石綿障害予防規則違反となります。
罰則の内容
6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金
これらの罰則はあくまで一例であり、具体的な違反内容や状況によって罰則の重さが異なります。そして、複数の法令に違反している場合は、それぞれの罰則が併科される可能性もあります。 石綿に関する法規制は複雑であるため、適切な措置を講じましょう。罰則のリスクを回避するだけでなく、安全や健康に繋がるという意識を持つことが重要です。 また、適切な対応を行わないと社名が公表され、社会的信用を失う場合もある可能性もあります。 起訴されると、公共工事からの指名停止処分や建設業法上の監督処分(指示処分)の対象となり、また罰金刑になると、産業廃棄物処理業許可の取り消しも行われることとなりますので認識しておきましょう。 違反事案(石綿関連以外も含む)は厚生労働省労働基準局監督課から毎月下記のような形でHPにて公表もされています。

より詳細な情報については、厚生労働省のウェブサイトをご確認ください。
違反事例から学ぶ対策
過去の違反事例を踏まえ、適切な石綿対策を行うためのポイントをまとめました。
対策 | 内容 |
---|---|
専門業者への依頼 | 石綿に関する作業は、必ず有資格者(専門業者)に依頼しましょう。 |
事前調査結果の報告と提示 | 石綿使用の有無の事前調査結果については工事着工前までに石綿事前調査結果報告システムへ登録・申請を行い、作業現場の適切な場所に掲示しましょう。 |
正しい飛散防止措置 | 石綿除去作業時には、湿潤化、囲い込み、作業員の防護具着用など、正しい飛散防止措置を徹底し、内容の掲示も行いましょう。 |
石綿含有建材の適切な保管 | 石綿含有廃棄物は、破損や飛散を防ぐために、専用の袋に密閉して保管しましょう。 |
法令遵守の意識 | 石綿に関する法規制を遵守し、適切な作業手順と安全管理体制を確立しましょう。 |
記録の保管 | 石綿に関する作業記録は適切に保管し、必要に応じてすぐに提示できるように、また関係機関に提出できるようにしておきましょう。 |
まとめ
石綿行政パトロールによる立ち入り検査は、石綿による健康被害を防止するために重要な役割を担っています。健康を害することへ繋がるだけでなく、法規制に違反した場合には罰金や懲役、事業停止命令などの厳しい罰則が科せられます。 違反事例からもわかるように、石綿の取り扱いには細心の注意が必要であり、正しい除去等工事を行い、確実な飛散防止措置を講じること、そして許可業者を選定することが重要です。事業者はもちろんのこと、建物の所有者や管理者も石綿に関する法規制を理解し、責任ある行動をとりましょう。 参考URL:厚生労働省|政策について|分野別の政策一覧|雇用・労働|労働基準|アスベスト(石綿)情報
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本記事では、石綿行政パトロールの実態と違反事例、対策を解説しました。
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