アスベスト(石綿)が含まれる建材の特徴と分析・除去方法を解説!
本記事の要約
- アスベストに酷似している素材にロックウールやグラスウールがある
- 吹付けアスベスト・吹付けロックウール・吹付けバーミキュライト・折板裏打ち石綿断熱材などのアスベスト建材には見分け方や特徴がある
- アスベスト分析には専門的な知識が必要である
- 除去方法には除去工法・囲い込み工法・封じ込め工法がある
目次
- 1. アスベストの概要と酷似する素材について
- 1.1. アスベスト概要
- 1.2. アスベストの事前調査報告とは
- 1.3. アスベストと似ている素材
- 2. アスベスト(石綿)建材見分け方のポイント解説
- 2.1. 吹付けアスベスト
- 2.2. 吹付けロックウール
- 2.3. バーミキュライト(吹付けひる石)
- 2.4. 折板裏打ち石綿断熱材
- 2.5. 上記以外のアスベストの判別方法
- 2.6. 建築物の年代で判別する
- 2.7. 専門機関に調査を依頼する
- 3. アスベストの分析方法
- 3.1. 定性分析
- 3.2. 定量分析
- 3.3. アスベストのレベル
- 4. 除去方法
- 4.1. 除去工法(レベル1、2、3対応)
- 4.2. 囲い込み工法(レベル1、2、3対応)
- 4.3. 封じ込め工法(レベル1、2、3対応)
- 4.4. 剥離工法(レベル3対応)
- 5. まとめ:工期に影響しないスピーディーな分析ならデイラボが安心です!
アスベストはかつて建築材料として大量に使用された素材ですが、健康被害を及ぼすことが判明し現在は使用禁止になりました。 今後、インフラ再整備や住宅の老朽化にともない、建築物の改修・解体工事は増加すると言われています。そのため、令和4年には環境被害防止のため、元請業者や自主施工者に建造物のアスベスト使用有無の事前調査報告が義務づけられました。しかし、アスベストを見分けることは容易ではありません。 本記事ではアスベストに似た素材や目視での見分け方のポイント、さらに分析や除去方法を解説します。ぜひアスベストの知識を深める参考にしてください。
アスベストの概要と酷似する素材について
ここではアスベストの概要と事前調査報告について簡潔に解説します。
アスベスト概要
アスベストとは、天然の「繊維状けい酸塩鉱物」で、耐久性や耐火性、断熱性にたいへん優れていたため建築材料だけではなく、断熱材などの工業製品としても幅広く活用されていた素材です。
後年、肺がんなどの健康被害を及ぼすことが判明し現在は使用が禁止され、解体・改修工事を行う場合は事前調査の報告が義務付けられました。しかし、ロックウールやグラスウールのようにアスベストによく似た素材も存在するため、しっかりと見分けることが重要です。
アスベストの事前調査報告とは
令和4年の法規制強化に伴い、解体・改修工事を行う場合は施工主や元請け業者は、アスベスト含有の事前調査報告が必要となりました。一般家庭のリフォームを含む建築物すべてが原則対象であり、結果を発注者や作業者に報告説明しなくてはなりません。適切に対策を施さない場合は、罰則も適用されます。更に2023年10月からは有資格者による事前調査が義務付けられます。
アスベストと似ている素材
1.ロックウール
天然鉱物繊維由来の素材で、耐火性・防音性の高い素材です。かつてはアスベストやセメントと混ぜて吹付けロックウールとして使用されていました。現在はアスベストを含まず使用されています。
外見がアスベストと酷似しているため、見た目での判別は困難です。ロックウールだけの場合は、素材の一部を掌に取り、指で粉砕すると粉々になるという特徴があります。また、顕微鏡判定なら繊維の状態で判別が可能です。
2.グラスウール
グラスウールとは、高温で溶かしたガラスを繊維状にした素材で、いわゆるガラス繊維です。特徴としては軽くて腐食せず不燃性であることが挙げられます。さらに断熱性・吸音性・防振性にも優れています。やはり見た目がアスベストとよく似ているため判別が難しい素材です。
アスベスト(石綿)建材見分け方のポイント解説
アスベストを含有する建築素材の特徴と判別方法を表にまとめました。
吹付けアスベスト
特徴 | ・水やセメントに混ぜて建築物に機械により吹き付けて使用された ・1975年以降は施工していない ・建築物の老朽化によりアスベストの飛散性が高く危険度が大きい |
判別方法 | ・外見は表面が綿状で柔らかい、色は青色、灰色、 白色及び茶色状である ・針などで刺すと数cm貫通する |
主な使用場所 | 機械室・ボイラー室・鉄骨耐火被覆材・天井断熱材 鉄骨鉄筋コンクリート造建築物・駐車場の天井や壁等 |
吹付けロックウール
特徴 | ・セメントやアスベストと混ぜて機械で噴出させ天井などに使用 ・吹付けアスベストに似ているため判別が難しい ・アスベストの含有が製品の重量の0.1%を超えるものがある |
判別方法 | ・アスベスト含有の有無を目視判断することは難しい ・外見は表面が綿状で柔らかい ・針などで刺すと数cm貫通する |
主な使用場所 | 機械室・ボイラー室・鉄骨耐火被覆材・天井断熱材 鉄骨鉄筋コンクリート造建築物・駐車場の天井や壁等 |
バーミキュライト(吹付けひる石)
特徴 | ・バーミキュライト(ひる石)をアスベストと混ぜて、 機械により吹き付けたもの ・1989年以降は使用されていない |
判別方法 | ・素材の表面を触ると弾力が感じられる。 ・外見は平たんではなくデコボコしている ・光沢のある金色の雲母状の鉱物が見えることがある |
主な使用場所 | 結露の可能性の高い部屋の天井、防音性を高めたい天井等 |
折板裏打ち石綿断熱材
特徴 | ・折板(薄い鋼板を使用した屋根材)にアスベストを張り付けたもの ・アスベストの含有が製品の重量の0.1%を超えるもの |
判別方法 | ・折板屋根材使用建築については、屋根裏に対象材料があるか どうかを確認 ・表面は柔らかく、スポンジ、ゴム、ウール状である |
主な使用場所 | 金属板屋根裏に使用、倉庫、車庫、渡り廊下等 |
上記以外のアスベストの判別方法
この他にも以下の方法でアスベストが使用されている建材かどうかをある程度判断することが可能です。
建築物の年代で判別する
国土交通省 によると「アスベスト含有建材(アスベストを0.1重量%を超えて含有するもの)は労働安全衛生法施行令により、2006(平成18)年9月から、製造・使用等が全面的に禁止」されています。そのため2006年以降に建築された建物に関しては、一部の例外を除きアスベスト含有の心配はありません。しかし、それ以前の建造物に関しては使用されている可能性があります。特に高度成長期の建造物はアスベスト使用率が高いため、図面や登記簿謄本、や重要事項説明書で建築時期を確認してみましょう。 【参考】法規制強化年代順紹介
専門機関に調査を依頼する
アスベストを目視だけで判断するのは非常に困難と言えます。現場で判断がつかない場合は、現地で建築物のアスベスト含有の可能性がある部分の検体を採取し、早急に専門家や分析機関に相談することが重要です。特に分析に関しては専門機関の高度な技術が必要となります。 デイラボは分析調査に業界トップのスピードを誇りますので、ぜひ一度ご相談ください。
アスベストの分析方法
定性分析
定性分析は、国際規格ISO 22262-1を基準とした国内規格JIS A 1481-1、または日本独自規格のJIS A 1481-2でアスベスト確認を行う方法で、必須と言える分析方法です。当該製品にアスベストの含有率が0.1重量%超えているかを調査します。
定量分析
定量分析は、何%アスベストを含有するかを検査します。JIS A 1481-3、JIS A 1481-4、JIS A 1481-5の規格により行う分析方法です。
通常工事を行う上では定性分析のみで十分です。定量分析に関しては、たとえ定性分析でアスベストが検出されても、実施しなければいけない義務はありません。
デイラボでは、認定アスベスト分析インストラクターが高度な技術が求められるJIS A 1481-1に特化した分析を行っているため、質の高い分析結果をお約束します。
アスベストのレベル
アスベストには発じん性(工事によりアスベストが飛散する度合い)によってレベルが異なります。以下を参照ください。
レベル | 内容 |
---|---|
1 | 発じん性が非常に高い。 |
2 | 発じん性が比較的高い。 |
3 | 発じん性が比較的低い。 |
除去方法
除去工法(レベル1、2、3対応)
除去工法はリムーバル工法とも呼ばれており、吹付けアスベスト等の層を下地から取り除き、完全に除去する方法です。周辺に悪影響を及ぼさないように保護シートを利用しアスベストの飛散を防ぐため、確実で安全性の高い方法であり解体工事の場合は除去工法での作業が好ましいです。ただし作業費用は高めになります。
囲い込み工法(レベル1、2、3対応)
囲い込み工法はカバーリング工法とも呼ばれ、アスベストが露出している部分を板材などで囲って、アスベストを密封し飛散を防止する方法です。リムーバル工法より簡易なため、工期に影響を及ぼすことなく短期間で作業可能です。 しかし、アスベストを完全に除去するわけではないため、解体時には改めて除去工法が必要となります。
封じ込め工法(レベル1、2、3対応)
エンカプスレーション工法とも呼ばれる封じ込め工法は、建造物の中にあるアスベストに固化材などを噴射し固定して封じ込める工法です。固化材をかけて固定するだけの工法なので簡易にすみ、費用もそれほどかからないというメリットがあります。 しかし囲い込み工法と同じく、アスベストを完全に除去するわけではないため、定期的な点検が必要になります。さらに解体する場合には結局除去工法を行わなくてはなりません。
剥離工法(レベル3対応)
薬剤によるアスベスト含有素材除去工法です。仕上塗材を薬剤で柔らかくしてからアスベストを除去するため、散水や囲い込みを行う必要がありません。ただし、取り残しがあった場合は他工法との併用が必要となります。
まとめ:工期に影響しないスピーディーな分析ならデイラボが安心です!
アスベスト含有建材の見分け方から分析方法や除去方法まで解説しました。解体・改修工事に伴うアスベスト調査は確実に迅速に実施される必要があるため、早期に専門機関に相談することも重要です。
デイラボでは、24時間でアスベスト分析結果報告を行う「1DAYプラン」をご用意しております。一方で計画的なアスベスト分析には納期を調整することで費用を抑えられる「S(ショート),M(ミドル),L(ロング)」等、お客様のニーズに合わせたプランを提供しております。
また、デイラボには「一般社団法人日本環境測定分析協会」が実施する「アスベスト分析法委員会認定JEMCAインストラクター」の保有資格者が4名在籍し国内№1を誇ります。
受付は全国対応しており、関東圏のお客様においては直接サンプルの持ち込みも可能です。
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