【工作物石綿事前調査者】来年からの義務化に備える!今すぐ知るべきポイント

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2025.12.12

【工作物石綿事前調査者】来年からの義務化に備える!今すぐ知るべきポイント
  • 2026年1月1日以降着工の工事より、一部の工作物の工事を行うときは「工作物石綿事前調査者」によるアスベスト事前調査が義務付けられる。
  • 工作物とは建物以外の構造物や設備(煙突、配管、プラント設備など)を指し、建築物と工作物が混在しているケースも多く、増加する建築物や工作物の解体工事において、適切な対策が求められる。
  • 義務化に対応していないと、工事の遅延や是正指導、調査ミスによるリスク、取引先からの信用低下などのトラブルが生じる可能性がある。
  • 対象工事の整理や資格者の確保、調査・分析体制の見直しなどの対策を早めに進めることが、スムーズな制度対応に繋がる。
  • アスベストの調査・採取・分析、基本的な体制づくりのサポートはデイラボへ!

2026年1月1日以降着工の工事より、一部の工作物の工事を行うときは資格者による事前調査が義務付けられます。この記事では、来年からの義務化に万全の体制で臨むために、なぜ工作物の事前調査が義務化されるのかという背景から、具体的に対象となる工作物の解説をいたします。

また、資格が新設されるにあたり、体制を整えずに時期を迎えた際に発生し得るトラブルと義務化後も安定して業務を遂行するために押さえておきたいポイントも整理していきます。

本記事を通して、来年からの義務化に遅れることなく対応し、安全と法令遵守を両立させるための体制を整えましょう。


なぜ工作物の事前調査が義務化されるのか

大気汚染防止法などの法改正により、解体・改修工事の前のアスベスト事前調査が「すべての工事において原則必須」(※)となり、一定規模以上の解体工事もしくは一定金額以上の改修工事については調査結果の届出が必要となりました。

そして、制度改正により、2026年(令和8年)1月1日以降に着工する工事では、
対象となる一部の工作物において「工作物石綿事前調査者」による石綿使用の有無の調査が義務化されます。

これは、事前調査の質を確保し、石綿による健康被害の未然防止をはかることが目的とされています。

これまで、建築物のアスベスト事前調査は「建築物石綿含有建材調査者」の資格が必須であるものの、工作物は無資格でも調査が出来るという不整合な状態でした。
実際の工事では建築物と工作物が混在しているケースも多く、増加する建築物や工作物の解体工事において、適切な対策が求められる状況にございます。

そして、工作物は建築物と異なり非常に小さなものから、プラントなどの大規模なものまで多種多様であるため、特に専門的な知識や対応が必要です。
建築物同様、工作物の工事等に携わる労働者や周辺住民など人々の健康に深刻な被害をもたらすことが無いよう、調査の質を向上することが求められています。

このような背景から、来年以降一部の工作物の石綿事前調査には資格者が行うことが義務付けられることとなりました。

(※)調査の対象を外れる要件もいくつかございます。(以下記事参照)

アスベストの調査が不要な条件は?理由を法改正に照らして解説

一部の例外ではアスベストの事前調査が不要になるケースがあります。アスベストの事前調査が不要な「一部の例外」とは具体的にはどのようなケースが該当するのか、当記事にて解説しております。是非ご参照ください。

結論としては、アスベストの事前調査が不要なのはアスベストの飛散リスクがないことが明らかなケースですが、実際には当てはまるケースは例外的です。


対象の工作物について

「工作物とは?」
工作物とは、建築物以外のものであって、土地、建築物又は工作物に設置されているもの又は設置されていたものの全てをいい、例えば、煙突、サイロ、鉄骨架構、上下水道管等の地下埋設物、化学プラント等、建築物内に設置されたボイラー、非常用発電設備、エレベーター、エスカレーター等又は製造若しくは発電等に関連する反応槽、貯蔵設備、発電設備、焼却設備等及びこれらの間を接続する配管等の設備等がある。なお、建築物内に設置されたエレベーターについては、かご等は工作物ですが、昇降路の壁面は建築物である。

引用:令和2年10月28日付け基発1028第1号「石綿障害予防規則の解説について」

「工作物」は上記のような定義がされており、今回義務化される「工作物石綿事前調査者」による調査は、例えば以下のような工作物が対象となります。

引用:令和8年(2026年)1月1 日以降着工の工事から、一部の工作物の石綿事前調査には資格取得が必要になります!〔令和6年(2024年)度版〕

そして、対象となる工作物において、
新設される❶工作物石綿事前調査者による調査が必要となる工作物と、
❷工作物石綿事前調査者もしくは建築物石綿含有建材調査者(一般、特定)などによる事前調査が必要となる工作物
がございます。
既存の建築物・特定の工作物の工事を行う場合は、下記の資格が必要です。

その対象となる⼯作物において、実際どの部分にアスベスト含有建材が使⽤されているのかについては、以下の表をご参照ください。

引用:厚生労働省 労働基準局 安全衛生部 化学物質対策課|工作物に係る石綿事前調査者の要件の検討について

義務化となる来年が近づく中で、対象となる工作物は何なのか判断が難しいケースが発生することもあるかと思います。その際は、お気軽に是非デイラボまでご相談・お問い合わせください。


義務化後に発生し得るトラブル

制度そのものよりも重要なのは”義務化後の現場がどう変わるか”です。ここからは工作物の石綿事前調査資格が新設されるにあたり、体制を整えずに時期を迎えた際に発生し得るトラブルを整理していきます。

着工遅延やコストダメージ

義務化後に無資格者が事前調査を行ってしまうと、その調査は法令違反、調査結果は無効となります。その結果、発注者や元請けから再調査を求められ、調査をやり直すこととなり、着工日が大幅に遅れる可能性があります。そうなると下請けの待機費用や工程調整の混乱も発生し、工事のコストとスケジュールに悪影響も及ぼします。

行政からの是正指導

無資格者による調査は、労働基準監督署や自治体からの是正指導や改善命令が発生する可能性があります。工事が一時休止や改善報告書の提出が必要になったりするほか、今後の入札案件や取引先との信頼関係に影響が出る可能性もあります。

調査の見落としによる事故リスク

資格者ではない者が調査を行いアスベスト含有の部位を見落としてしまうと、工事中にアスベストが飛散するリスクは高まります。その場合、作業員や周辺環境へ影響を及ぼすだけでなく、除去計画の再策定や追加工事が必要になり、費用も増大します。

会社の信頼や経営へのダメージ

無資格調査のまま工事を進めてしまうと契約内容に反することになり、発注者やお施主様や取引先とのトラブルに発展する可能性もあります。こうした信用面の低下は長期的に大きなダメージを与え、会社の信頼を失い経営に直接影響を及ぼす重大なリスクともなり得ます。また、事故が公に公表されれば特にダメージを被ります。

このように、義務化に備えないまま工事を進めると、着工遅延や行政指導などの実務的なトラブルが発生する可能性があります。これらは工期や無駄なコスト発生、信用低下に影響するため、早い段階で体制を整えておくことが重要です。


義務化への準備として必要なこと

ここまで義務化の概要と、義務化への準備を怠った場合に発生し得るトラブルを説明してきました。それを踏まえて最も重要なのは、制度変更を正しく理解し、社内体制を早めに整えることです。
最後にここでは、義務化後も安定して業務を遂行するために押さえておきたいポイントを整理します。

対象となる工事の把握

まずは、対応する工事の中で、新設される「工作物石綿事前調査者」による調査が必要となる工作物があるかどうかを整理することが必要です。鉄塔・煙突・橋梁・プラント設備など、工作物は大小多岐にわたるため、早めの仕分けが着工遅延の防止につながります。

社内の資格者確保

事前調査を調査会社へ依頼をせず、自社で行っている場合は、社内に十分に資格者がいるか確認する必要があります。複数人の資格取得を計画的に進め業務が滞らないよう体制を整えておく、もしくは調査会社の選定に早めに取り掛かりましょう。

報告書フォーマットの更新

事前調査を調査会社へ依頼をせず、自社で行っている場合は、工作物向けの報告書フォーマットも見直す必要があります。法的に記載が求められている項目をきちんと記載し、Gビズへの登録(対象の工作物のみ対応)へも備えましょう。
厚生労働省から、様式の変更箇所もまとめて公開されておりますので確認しておきましょう。

分析機関との連携強化

調査後の分析が迅速・確実に進むことは、工期管理の上で非常に重要です。工作物特有の建材に対応できるか、24時間以内に結果報告など迅速な分析が可能かなど、信頼できる分析機関と事前に連携体制を固めておくことで、義務化後の現場トラブルを大きく減らせます。
デイラボでは、24時間以内に結果をお届けする1DAYプラン、納期を調整することで費用を抑えられる「S(ショート),M(ミドル),L(ロング)」等、お客様のニーズに合わせたプランを提供しております。

発注者・施主向け説明資料の準備

義務化直前や直後は発注者側も情報不足になりがちです。義務化の背景から対象工事の工期への影響、発注者やお施主様の理解状況などを推測して、説明資料等を用意しておくとスムーズな工事着工へと繋がり、信頼へも結びつきます。

義務化後も工事を円滑に進めるためには、対象工事の整理や資格者の確保、報告書様式の整備などを事前に進めておくことが重要です。必要な体制を早めに整えることで、現場・発注者双方の負担を最小限に抑えられます。


まとめ:アスベスト調査・採取・分析は信頼と実績のデイラボへ

来年以降着工の工事より、一部の工作物において資格者による事前調査が義務付けられることは、アスベストによる健康被害を未然に防ぎ、作業員の安全を確保するための極めて重要な法改正です。
この義務化は、工事に携わる全ての事業者にとって見逃せない重要な法改正であり、適切な事前調査の実施は、単なる法令遵守に留まらず、企業の社会的責任を果たす上で大切です。

義務化に備えるためには、工作物石綿事前調査者の資格取得、社内での周知や体制構築、そして最新情報の継続的なキャッチアップが求められます。これらの準備を怠ることは、罰則や行政指導の対象となるだけでなく、企業の信頼や事業へも影響を与える可能性があるので事前に準備を整えましょう。

デイラボでは、工作物石綿事前調査の事前調査も対応可能であり、報告書も必要情報を記載の最新のフォーマットで報告いたします。
また、事前調査一式、採取、分析だけといった個々の依頼もお受けすることが出来ますので、是非ご相談ください。その他アスベストに関して初歩的な質問でも構いません。会社のアスベスト対策に関しての体制づくりも一からサポートいたします。

TIPS「石綿とは?」

「石綿」とは「せきめん」「アスベスト」とも呼ばれており細長い形の天然の鉱物繊維である。
優れた特性を持っている反面、微細なものがいったん空気中に放出されると、消滅することなく長期浮遊し、人がそれを吸い込むと病気になる危険性が高まることから、石綿ばく露を防止することは極めて重要な課題となっている。

引用:建設業労働災害防止協会|石綿作業主任者技能講習テキスト

<調査結果報告書 サンプル>

<分析結果報告書 サンプル>

また当社では、アスベスト分析業務だけでなく、貴社社員・協力業者様向けのアスベスト事前調査についての勉強会なども行うことも可能です。 1時間程度のお時間を頂き、法改正で変わったこと/今後対応しなければいけないこと/発注者様への説明/解体や修繕等の工事時に気を付けなければならないことなどをお話させて頂きます。 対面でもZOOMなどでのウェビナーでも対応可能ですので、全国どのエリアのお客様でもまずはお気軽にお問合せください。

また、このような情報も含め、アスベストに関する最新情報をメールマガジンとして配信も行っております。 ※配信対象は、お取引を頂きましたお客様に加え、お見積りを提出させていただきましたお客様も対象となりますので是非一度お問い合わせいただければと思います。

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